営業管理職、単身赴任、そして不妊治療や、産後の辛さ・・・20年もの会社員人生で見えてきたこと。現役管理職として、次世代に伝えたいこと。

長田 正美

Masami Nagata
ウイメンズキャリアメンター、プロコーチ、研修講師、組織開発ファシリテーター

【資格】
Gallup認定ストレングスコーチ
=====【メンタリング価格】
1回お試し 10,000円/時
3回パック 27,000円(9,000円/時)
5回パック 40,000円(8,000円/時)

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INTERVIEW


今までのキャリアを教えてください

リクルートのグループ会社に新卒で入社して以来約20年、私は求人メディアを通じた企業の人材採用支援に携わってきました。いままで転職や起業、独立をしておらず一つの企業で働き続けていますので、その面では非常にレアなメンターでしょうね(笑)独立して活動するというより、企業で働きつつパラレルキャリアとしてメンター活動をしていこうと思っています。

学生時代から編集に興味を持っていた私ですが、残念ながら就活では出版業界にご縁はありませんでした。リクルートには、事業内容よりも“人”に魅かれて入社。採用担当者や面接官の人柄が多様で、「この会社なら自分らしくいれるかな」と思ったのです。以来、主に営業畑を歩んできました。最初の営業先は秋葉原や神田のオフィス街で、ラーメン屋さんの店長さんから、誰もが知る大企業の人事担当者や社長さんまで幅広く向き合い、人材採用をお手伝いしてきました。私たちはアルバイト、パートから中途社員の採用支援を行う企業なので、クライアントの経営戦略・事業戦略を理解し、それに紐づく人事戦略から逆算した人員計画を立案し、その計画が実行されるための採用手法はもちろん、採用した人材の育成施策から定着対策までご提案していました。いわば“社外の人事採用担当”でしたね。

ただ私は、斬新なアイデアで実績を挙げるようなタイプではなかったため、営業担当としての限界を感じていました。でもそんな私に転機が訪れました。


営業リーダーから管理職になって気づいたことは?

入社7年目、現役の営業リーダーでありながらも、マネージャー代行としてグループ全体をまとめていく仕事を会社から任されたのです。このミッションを通じて初めて仕事の面白さに目覚めました。自分自身のソリューション提案力でバリバリ成績を伸ばすプレイヤーより、組織全体に与えられたゴールを踏まえて、全体方針や戦略を決め、一人ひとりのスタッフの長所や特性に合わせて人員配置をしたり、育成プランを考えたりする仕事が自分に合っていることに気づいたのです。

その経験を経て、翌年マネージャーに任用。社内で最も成果を上げた営業グループの組織長として表彰されたこともありました。ピカイチの営業にはなれなかったけど、ピカイチの営業グループを作ることは得意だと自負しています。

その後、企画職も経験しつつ、約10年前には、営業マネージャーとして仙台に赴任。当時、地方拠点で働く女性マネージャーは、私一人でした。他の地域のマネージャーからも、私の部下からも珍しがられましたが、女性ならではの感覚や意見も率直に伝えられる環境だったので、面白かったですね。その後、同じ会社の別部署の男性と結婚することになったのですが、「次は札幌へ異動」との辞令。東京に住む夫とは暮らすことはなく、一人で札幌へ向かいました(笑)


結婚後、たった一人の女性管理職として地方の単身赴任を経験したのですね。

そうですね。でも毎週末に私が東京に帰ったり、夫が札幌に来てくれたりしたので、そこまで不便を感じていませんでした。平日は離れている分、仕事にも集中できました。その後約1年で東京の本社に戻ることになり、今度はスタッフ職へ。会社全体のビジョンづくりのプロジェクトに参加するという得難い経験をさせていただいた後、リクルートホールディングスに出向。グループ全体の人事企画に関わるようになりました。出向期間終了後は、会社の営業部門の人事教育マネージャーとして、約1000名の人事業務や人材育成に携わっています。


順調にキャリアを積み上げる秘訣は何ですか?

ズバリ“食べ物”による人脈づくりです(笑)私は新入社員の頃から社内外のあらゆる人たちと、週7日、一緒に食事をしていました。「素敵な人だな」と思ったら、すぐに声をかけてランチや飲みに誘っていたのです。おかげでたくさんの人たちと交流を深め、仕事の壁にぶち当たった時にも多くの金言をいただき、救われました。ちなみに、自分の知人同士をつなげる機会もよく設けています。自分がつなげた人脈によって、化学反応が起きるのを見るのが好きですね。また、これまでの上司からは、仕事ぶりや優秀さではなく“誠実さ”を買われることが多かったです。それらが私のキャリアアップを助けてくれたのだと思います。


不妊治療の経験について教えてください。

約3年間の治療中、3段階の辛さを味わいました。まず精神的な辛さ、その次に肉体的苦痛、最後に経済的困窮です。治療を受けても効果が出ず「こんなに頑張っているのに願いが叶わない」という精神的ダメージを受け、排卵誘発のために、自分で自分のお腹に注射をしたりすることで肉体への負荷もかかるようになりました。しかもそれらに費やした金額は、小さな別荘を購入できるのではないかと思うほど・・・

ただラッキーだったのは、会社がリモートワークを推進していたこと。働く場所も時間も、業務に支障のない範囲で自由に決めて良く、私自身も自宅や、いつ呼ばれるか分からない不妊治療に備え病院近くのカフェで仕事するなど工夫していました。だから勤務との両立はそれほど難しくなかったように思います。

3年の治療を経て、ついに妊娠。10ヶ月の妊娠期間の間には仕事の異動もありバタバタしましたが、無事に出産。子供が冬生まれだったこともあり、出産の4か月後、4月の人事異動のタイミングで復職しました。しかしその復職後こそ、私の20年に及ぶ会社員人生で最も暗黒の時代だったのです。


暗黒時代と呼ばれている、産後の経験について教えてください。

復職当時、会社の時短制度は使わず通常勤務にしていたものの、実際はお迎えのため17時半には帰宅させてもらっており、仕事が終わらないことが多々ありました。だから帰宅後子どもを寝かしつけてからパソコンを立ち上げる日々。そしてようやく床に就くも、子どもの夜泣きで目覚める・・・睡眠不足で仕事に行っても頭が回らず、それにもかかわらず周囲には弱音を吐けず、また別の仕事を引き受ける。その結果、納期に間に合わなかったり、完成度が以前に比べて低くなったり・・・

会社に対してだけでなく、社会に対しても申し訳ない思いでいっぱいになりました。自分の会社の事業は世の中の役に立っていると自負していたので、会社で成果を出せないということは、「会社員として100点満点じゃない」というだけではなく「社会に貢献できていない」とまで思い詰めてしまい、ただただ悔しさしか感じられなかったのです。

これまで、山あり谷ありながらも常に成長感を持ってキャリアを築いてきたと思っていました。でも子育てには、自分の努力だけではどうにもならないことがたくさんある。睡眠時間は削られ、自己成長に必要なインプットの時間も少なくなり、初めて「成長できていない」という現状に愕然としました。


ストレングスファインダーを知ったことで辛さを乗り越えたのですね。

「成長しなくては意味がない」という視点に囚われていた私にとってはとても辛い日々でしたが、徐々に気持ちを切り替えて乗り越えました。“子育て”という大事なミッションが加わったときに、これまでと同じような働き方はできないのかもしれない。今は、子育てから学ぶ期間なのかもしれない。実際、子育ては初めての経験の連続で、毎日新たな気づきや感動がありました。今では「長い人生、そういう時期もある」と思えるようになりました。

そのきっかけは“自分の強み”を思い出したことです。数年前に受けたストレングスファインダーのテストで、自分の強みを5つ見出したことを思い出し、今一度自分の強みをメタ認知することで、少しずつ自分らしさと自信を取り戻しました。

私がストレングスファインダーの認定コーチの資格を取ったのは、私が味わった辛さを、次世代の女性たちに経験してほしくないと思ったから。「辛くなったら、自分の強みを思い出してほしい。その辛さは、決して長くは続かないから」ということを伝える側になりたいと思ったのです。


メンターを目指した理由を教えてください。

私がMentor Forに出会ったのは、自分の強みを思い出し、復職後の暗黒時代から少し抜け出しつつあった頃。その活動が掲載された日経新聞の記事を見て「これこそが、私がやりたかったことなんだ!」と思いました。そして、自分もメンターの素晴らしさを体験するために、ストレングスファインダーコーチの梶本由美さん(Mentor Forウィメンズキャリアメンターとしても活躍)からセッションを受けました。由美さんからたくさんの勇気をいただき、メンターの意義を強く感じました。

そして「私が苦しんでいた時に得た知見を、他の誰かに伝えたい!」という思いからウィメンズキャリアメンターを目指し、今に至ります。


次世代の女性へのメッセージをお願いします。

「面白そうな“船”が目の前に来たら、とりあえず乗ってみてください」ということ、そして「今の自分の身の丈より少し高い、ちょっと難しそうな仕事でも、経験値が上がるのであれば、失敗しても良いからチャレンジしてみよう」ということです。

私にも、今思い出しても辛い失敗があります。まだ営業マネージャーとして未熟だったころ、組織の個性や特性を無視して、自分の仕事の進め方を押し付けてしまい、部下から猛反発を受けました。「私たち一人一人のことをわかってくれていない」と言われた時のショックは忘れられません。人の気持ちを理解できることが自分の強みだと思っていたのに、実はそうではなかった。「自分の強みは一体何だろう?」と考えた最初の経験、でもそれは非常に得難いものでした。どんな失敗も、全て自分の糧になる。その糧を多く得れば得るほど、人生が豊かになる。そう私は信じているし、そんな思いを多くの女性たちに伝えたいですね。

また上司から「管理職に挑戦してみないか」と言われて迷っているという女性にも数多く出会います。多くがアラサー世代である彼女たちに対して私が伝えるのは「あなたの○○という強みは、絶対にあなたしかできないマネージメントにつながりますよ」ということ。なぜなら“あるべきリーダー像”というものは無いし、いろんなタイプのリーダーを許容する組織こそが健全だからです。よく思い描きがちな“圧倒的なリーダーシップでチームを率いる”というリーダー像に、無理やり自分を当てはめようとする必要は全く無いのです。

最後にもうひとつ – いろんな人に出会って話をしたり相談したり、いろんな人と価値観をぶつけ合ってみて欲しい。そんなことを女性たちに言うと「相談するなんて、まるで自分の考えを持っていないみたい」「誰かのアドバイスに左右されたくない」という不安を口にされますが、人は誰でも絶対に最後は自分で決めているのです。だからこそ、自身のベストな決断に向けて、あらゆる人たちに相談したり、いろんな人たちの価値観に触れたりすることは大切。ぜひ、しなやかにたくさんの方とのコミュニケーションを楽しんでいただきたいです。

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